診断主義学派と機能主義学派

 ソーシャルワークの発展期に入ると診断主義学派と機能主義学派が登場する。機能主義学派は診断主義学派に対立するか形として登場し、両者は激しい論争を繰り広げた。

 フロイト(Freud,S.)の精神分析理論をよりどころにした見解を診断主義学派と呼び、1920年代頃より形成された。診断主義学派ケースワークを提唱したのはハミルトン(Hamilton,G.)である。問題を抱えるクライエントに精神分析療法的なアプローチを通して理解し、分析し、変容させることができると考え、治療的なかかわりの方法とその強度はクライエントの抱えている問題の内容や度合いによって決定されると考えた。

 1930年代頃から機能主義学派が台頭してくる。ランク(Rank,O.)の意志心理学を基礎として、機能主義学派ケースワークはロビンソン(Robinson,V.)によって提唱された。クライエントの抱える問題について、過去にさかのぼり問題を解決するのではなく、クライエントのおかれている現在の状況とクライエントの関係に集中する。

 診断主義学派に対して機能主義学派は異なる視点を提供しようとしたが両者は激しく対立することとなってしまう。1949年、アメリカ家族サービス協会(Family Service Association of America)は、診断主義学派と機能主義学派のケース枠の対立に関して、ケースワーク実践の基礎概念を検討する委員会を発足するも、両者をうまく統合させることはできなかった。

グループワークの形成

 グループワークは、セツルメント運動や青少年団体の活動から発展してきた。コイル(Coye,G.L.)はデューイ(Dewey,J.)の影響を強く受け、組織化された集団での構造が話し合いによって成り立ち、そうした手段によってグループは目的を行動に移していると考えた。1923年にはウエスタン・リザーブ大学でグループワーク教育が展開されていくこととなる。そして1935年には全国ソーシャルワーカー会議においてニューステッター(Newsteter,W.)によって、グループワークは「自発的なグループにおける交友を通じて各人の発達と適応、およびこの交友を社会的に望ましい諸目的を拡充する手段として活用すること」と定義された。

 第二次世界大戦はケースワークだけでなく、グループワークにも大きな影響を及ぼし、母親の帰りを待つ子どもや兵士に対するレクリエーションの提供や民主主義の重要性を経験から学ぶためにもグループワークが活用された。1946年にアメリカグループワーク研究協会(American Association for the Study of Group Work)が、アメリカグループワーカー協会(American Association of Group Work)として改組され、グループワーカーの専門職団体となる。レクリエーションとグループワークの関係が整理され、グループワークをソーシャルワークの一部門であるという前提で、社会的な目標に向かうグループワークが確立していく。また、グループワークは治療グループワークとしても発展することとなる。1930年代から児童相談の分野で治療的に用いられてきたが、1940年代には不可欠なサービスとなる。軍隊では集団心理療法を用いるグループワークが活躍した。

コミュニケーション・オーガニゼーション

 慈善組織協会では慈善団体同士の連携や組織化を進め、セツルメント運動の拠点となったセツルメント・ハウスでは、その運営管理の技術や知識が発展してきた。1929年から起きる世界恐慌をきっかけとした諸問題は、民間での対応には限界があり公的な援助が必要となる。統計調査やニーズの測定、住民参加といった新たな手法が求められ、コミュニティ・オーガニゼーションがさらに発展する。ニューステッターは地域のグループをさらに組織化し、地域社会のニーズに応えようとする「インターグループワーク」の理論を確立した。ロス(Ross,M.G)は1955年にインターグループワークのさらに積極的な方法としてコミュニティ・オーガニゼーションの概念を「地域社会が自らその必要性と目標を発見し、それらに順位をつけて分類する。そしてそれを達成する確信と意思を開発して、必要な資源を内部・外部に求め、実際行動を起こす。このようにして地域社会が団結協力して実行をする態度を養い育てる過程」と定義する。1960年代にはロスマン(Rothman,J.)が地域開発モデル、社会計画モデル、ソースシャルアクションモデルのコミュニティ・オーガニゼーションの3つのモデルを提示した。これにより関係する地域の機関や団体の調整、住民の主体性を重視した地域の組織化などの枠組みを提供することとなる。さらに1987年にはトロップマン(Tropman,J.E.)との共著において、マクロの実践の視座からアドミニストレーションモデルと政策モデルを先の3つのモデルに追加した。