ソーシャルワークの統合化とジェネラリスト・アプローチの成立

 ケースワーク、グループワーク、コミュニティオーガニゼーション(コミュニティワーク)の共通基盤を明らかにして一体的に捉えようとする動きを、ソーシャルワークの統合化という。1929年のミルフォード会議(Milford Conference, 1923~1928年)の報告書において登場した「ジェネリック」という概念はソーシャルワークの統合化の先駆けである。1955年に全米ソーシャルワーカー協会(National Association of Social Workers;NASW)の結成が、ソーシャルワークの統合化の大きな契機となった。また、イギリスにおいては1968年のシーボーム報告(地域自治体と関連する対人福祉サービスに関する委員会報告書:Seebohm Report)の影響が大きい。統合化に影響を与えた理論的動向としては、システム理論が導入されたことがあげられ、個人、グループ、コミュニティを分断せず、最小のシステムである個人を内応したシステムとして捉える視点をもたらした。また、ソーシャルワークにおいて重視されてきた「状況のなかの人」を「システム」として捉え、そこに介入するという視点が明確になった。

 ソーシャルワークの統合化は、ケースワーク、グループワーク、コミュニティオーガニゼーションの主要な援助方法の統合化を起点として転化されてきた。1955年の全米ソーシャルワーカー協会(NASW)の結成を契機として、1970年代にかけて統合化への途を歩み始める。その過程は未分化であるが、一般に「コンビネーションアプローチ(combination approach)」、「マルチメソッドアプローチ(maltimethod approach)」、「ジェネラリストアプローチ(generalist approach)」の3つの段階に整理される。第1段階のコンビネーションアプローチは、ケースワーク、グループワーク、コミュニティオーガニゼーションを単純に合体させたもので、ソーシャルワーカーがクライエントへの援助内容に応じて、最も適切な方法を適宜組み合わせて活用する。第2段階のマルチメソッドアプローチは、コンビネーションアプローチと同じ認識に立ちながらも、各方法論に共通する原理や技術を抽出することによって共通基盤を確立させようとした。第3段階のジェネラリストアプローチは、専門職としてのソーシャルワークの共通基盤を確立したうえで、そこから全体を特質づける枠組みを再構築することをもって統合化とするものである。

ジェネラリストアプローチからジェネラリスト・ソーシャルワークへ

 1960年代後半から1970年代にかけて、ソーシャルワークの理論は統合化が進む一方で、多くのソーシャルワークのモデルやアプローチが生み出されていた。1980年代に入ってからエコロジカル・ソーシャルワーク(ecological social work)の台頭は、その後のソーシャルワーク理論やジェネラリスト・ソーシャルワークの形成に大きな影響を与えた。特に、「人と環境の関係性」は、ジェネラリスト・ソーシャルワークにも深い影響を及ぼす。「状況のなかの人」(person in the situation)は従来のソーシャルワークから重要な援助概念であり、1970年代に入るとシステム理論が本格的に導入され、さらにエコロジカル・ソーシャルワークの台頭により「環境のなかの人」(person in the environment)とも表現されるようになる。「状況(環境)のなかの人」という概念はソーシャルワークが向けるべき援助の焦点を明確にし、それはつまり「人」と「状況(社会)」の関係乗り方に焦点を当てるものである。

 エコロジカル・ソーシャルワークにおいて、クライエントと環境(家族や近隣、地域など)の間のストレス状態にある関係のあり方を変えるため、その接触面(interface)に専門的介入を求める。これが相互作用(interaction)への専門的介入である。ソーシャルワークは、人と環境の双方に働きかけることによって相互作用を促し、両者とその関係に変化をもたらし良好な状態に至ることが目標となる。こうした考え方は、現代ソーシャルワークの基本的な視点となっている。

 1990年代に入るとエコロジカル・ソーシャルワークの流れをくみながらジェネラリスト・ソーシャルワークとしての体系化が進む。ケースワーク、グループワーク、コミュニティオーガニゼーションの3つの援助方法とそれらの共通基盤がすべて一体化した。ソーシャルワークの共通基盤を基にし、総合的・包括的に取り組むジェネラリスト・ソーシャルワークは、従来のケースワーク、グループワーク、コミュニティオーガニゼーションという分類ではなく、ミクロ、サブ、メゾ、エクソ、マクロの各レベルで支援を行うようになった。

ミクロ・ソーシャルワーク個人・家族を対象とする支援
サブ・ソーシャルワーク補助的な人や機関などを対象とする支援
メゾ・ソーシャルワーク組織・集団・地域住民を対象とする支援
エクソ・ソーシャルワーク行政や近親者の関わる環境などを対象とする支援
マクロ・ソーシャルワーク社会・制度などを対象とする支援